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 信頼できる人に「想い」を託す方法 ―信託契約と遺言書の活用

信託か遺言書かのご相談がありました。
高齢になると、「自分が元気なうちに財産の行き先を決めておきたい」と考える方が増えます。特に、身近に頼れる家族が少なく、遠方の親族や知人に身の回りの世話を頼んでいる場合、その人への感謝や信頼を形にしたいという思いが生まれます。 財産の管理や死後の対応を託す方法として「信託契約」と「遺言書」があります。信託契約は、生前から効力を持つ仕組みで、信頼できる人(受託者)に財産を預け、本人のために管理してもらうものです。たとえば生活費や介護費のために財産を使い、亡くなった後の行き先も指定できます。 一方、遺言書は本人の死後に効力を持ちます。自筆遺言書は全文・日付・署名・押印が必要で、法務局での保管制度を利用すれば紛失や改ざんの心配も減らせます。 ただし、「特定の相続人には渡したくない」という希望があっても、法的には遺留分などの制約があります。感情だけで進めず、制度の枠組みを理解した上で形にすることが大切です。 信託や遺言は、単なる財産の分け方ではなく、「誰を信頼して託すか」という人間関係の問題でもあります。制度の活用によって、本人の想いを尊重しながら、法的にも安心できる形を整えることができます。